変なやつの変なブログ

猫とゲームと何かで塗り固められた何か

ちょっとした変化

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暑かったり寒かったりで調子を悪くした時、眼鏡の知人に心配されたことが少し嬉しかった。

彼が「最近寒暖差が激しいから気をつけないとな」と言った時、私は『寒暖差が激しい』という言葉に成る程、と思った。私はこれまで『暑かったり寒かったりすること』を『暑かったり寒かったり』と表現していたが、『寒暖差』の三文字で表現できることを知って語彙力が高まった気がした。何より、普段から「ウェーイ」みたいなことばかりしている(イメージの)眼鏡の彼から何かを学ぶことがあるとは、一年前の私は考えてもみなかった。

その後私は、『寒暖差』という言葉を何度も呟き、ドゥフフと笑いながら吐き気を抑え、お近くの病院の中へと消えていった。


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遂に私は、悲願のPlayStationVITAを買った。これはコロンブスのアメリカ大陸発見や、アポロ11号の月面着陸にも匹敵する世界的快挙である。

購入当初は、Wiiでも発売されたスタイリッシュ刀アクション『朧村正』や、共闘を重視した魔法使いの狩りゲー『ソウル・サクリファイス デルタ』、オープンワールドカーレース『need for speed MostWanted』など、ドッカンドッカンなボコスカアクションゲーをやっていた。
しかし、購入から1ヶ月程経つと、健全エロ恋愛ゲー『フォトカノ Kiss』や、着せ替えエロゲーDead or Alive Xtreme3』など、エロいゲームばかりやるようになっていた。
更に1ヶ月経つと、奇ゲー『LSD』、奇ゲー『クーロンズ・ゲート』など、珍妙で挑戦的な古いゲームしかやらなくなってしまった。

その時、アクションにもエロにも奇妙なゲームにも飽きた私の目の前に現れたのは、「RPG」という名の救世主である。彼は、アクションとエロとよく分からない奇妙な何かで満たされた私の心に、『ファイナルファンタジーシリーズ』という選択肢を与えたのだ。
それから暫くの間、私はファイナルファンタジー7に没頭した。暗い世界設定と重厚なストーリーに圧倒され、私は時間も忘れてプレイし続けた。


……気がついたら私はポケモンをやっていた。一応、ファイナルファンタジー7はとても楽しめた。楽しめたのだが、ファイナルファンタジー7にはあるものが欠落していた。何かというと、『ポケモン』である。
当然、ファイナルファンタジー7にはポケモンのポの字も見当たらない。だからこそ、ファイナルファンタジー7をやっている間、重度のポケモン中毒者である私の心にはポッカリと大きなディグダの穴が空いていた。
「何かが足りない……」
「チャンピオンを倒した後にやることがなくなってポケモンを乱獲し続ける時の虚しさによく似ている……」
「そうだ……このRPGには圧倒的にポケモンが足りないんだ……!」
そう気付いた瞬間、私の手からスルリとVITAが離れ、まるで待っていたかのように、DSが手のひらに舞い降りた。ゆっくりと開かれたDSの画面には、モンスターボールを片手に微笑む、オーキド博士の姿があった。
「さあ、君のポケモン図鑑を見せてくれ!」


私は、今日も朝からモンスターボールミュウツーに投げ続ける。いつ捕獲できるか分からない、そもそも捕獲できるかどうかすら疑わしい伝説のポケモンに、延々とボールを投げ続ける。失敗しては投げ、失敗しては投げ、ボールが尽きたらリセットをし、再びボールを投げる。そんな拷問に等しい毎日を続けていると、やがて私の感情は破綻し、手のマメが潰れ、痛みすら感じなくなっていった。ふと暗くなった画面に目をやると、一人の男の顔が映った。その男は、笑っていた。これ以上ない程の満面の笑みだ。
その男は私だった。画面に映る私は、私に向かってしきりにこう言うのだ。
ポケモンをやり続けろ」と……。