100万円を『使って』みたい
今週のお題「もしも100万円が手に入ったら」
例えば、普段から気前の良い親戚が「成人のお祝いだ」などと言ってポンと100万円渡してきたとする。こんなとき、あなたならどうするだろうか。
恐らく「えー!?こんな大金貰っちゃっていいのー!?」とか「こんなに受け取れないよー!」とか何とか言って最終的には全額懐にしまうだろう。あるいは、何か特別な事情や考えがあって強く断るかのどちらか。まさか「100万円ぽっちじゃ今日のディナーは雑草だけになっちまうぜ!」などと言い放つ猛者は多分いないだろう。いないでほしい。
私も含め大半の人間にとって、一度に100万円もの大金が手に入るという出来事は非日常の領域だ。普段の給料は労働に対する報酬として生活費に回したり貯金するものだろうが、それとは関係なくパッと手に入る金というのは、旅行や高額な買い物をしたり、アイドルのコンサートに行ったり、FXを始めたりなど、普段使わないようなことに使いたくなるものだ。
当然、私もそうだ。親戚から100万円なんか見せられたら奪い取るように受け取るだろう。
そして新しいスマホを買って、最新のゲーミングパソコンを買って、それにグラフィックボードを50枚位挿して、世界中のゲーム機を新品で買って、ありとあらゆるゲームソフトを買って、フリーターながらも家を買って、無人島を買って、アメリカを買って……。
しかし、100万円をただ金として消費するだけなら、100万円でなくとも50万円や30万円でだってできることだ。そんなのは勿体無い。
折角の100万円である。私は100万円じゃないと出来ないことをしてみたい。
例えば
- 100万円で人の頬を叩く
- じっくり時間をかけて1枚ずつ1万円札を数える
- 無理矢理財布に100万円を詰め込んで「いやー最近羽振りが良くて困っちゃうわー」とパンパンになった財布を友人に見せびらかす
- 扇子のように広げて扇ぐ
- 口から100万円が出てくるマジックをする
- 1000円札1000枚に両替して厚みを楽しむ
- 床に一万円札を並べ、その上に布団を敷く
- 神棚に飾る
- 銭洗水で100万円同時に洗う
などだ。
100万円という、厚さ1cmもの一万円札の束には、あらゆる人間の夢と欲望がコンパクトに収まっている。そんな非日常の塊をまるでスマホのように振り回せるのは、100万円を使わずに握りしめている今しかないのだ。
ところが、いくら100万円といえど所詮は金である。最終的には金として、何かに姿を変えることになるだろう。
というか、100万円だって元を辿ればただの紙だ。国が100万円分の価値を与えているから、100万円が魅力的に見えるのであって、使わなかったらただの紙切れ100枚だ。使うからこその100万円なのだ。
その時が来たら何に使おうか。アメリカでも買おうか。