雨雨強風
昨日一昨日は雨が降っていたというのに、今日になって突然晴れた。「昼頃から雨が降る」とか天気予報で聞いたが、ほんの数分しか降ってないじゃないか。
まったく、天気予報などあてにならん。次に「昼頃から雨が降る」なんて言いやがったら無視してやる。……と思ったときに限って本当に雨が降ったりするからもう天気予報は見ないと決めた。
晴れたのはいいが、今度は風が強い。ふと俺の影を見ると、強風で髪が逆立ち、スーパーサイヤ人っぽくなっていた。スーパーサイヤ人はこれから自転車に乗って家に帰るぜ。
強風のせいで自転車が非常にこぎづらい。鼻で呼吸がしにくくなるから口呼吸をするが、口呼吸をすると口の中に砂利が入ってくる。口の中がジャリジャリになって嫌になった頃、イトーヨーカドーの近くを通った。
下校中の小学生がいた。皆、手に傘を持っている。きっと「昼から雨が降るそうだから傘を持っていきなさい」とお母さんに言われたのだろう。もう雨は全く降っていなかったが、彼等は傘を差していた。
俺も小学生の頃、雨の降っていないときに傘を差していた。「日傘」としてだ。
しかし、俺はその頃「日傘」の意味をハッキリ分かっていなかった。ただ単に「雨の降っていないときに差す傘」として認識していたため、100均の青いビニール傘を日傘として差していたのだ。思い出すだけでも恥ずかしい。
きっとその小学生達も「日傘」として傘を差していたのだろう。残念ながら、ビニール傘を差している人は一人としていなかった。差していたら俺の仲間になれたというのに勿体ない奴らめ。
ジャリジャリになった口をジャリジャリさせながら帰宅し、玄関に置いてある鏡で俺の髪を見ると、まだ逆立っていた。どうやら、寝癖で髪が逆立っていたらしい。今日一日、ずっとこんな髪型で外を歩いていたのか。思い出すだけでも恥ずかしい。
……いや、実は俺はサイヤ人だったんだ。きっとそうだ。うん。