読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

変なやつの変なブログ

猫とゲームと何かで塗り固められた何か

無題4

私はその日の朝、ワイシャツを着た状態で起床した。

胸ポケットに5万円入っている。
昨日の飲み会で酔いに酔いまくり、飲み屋から自宅までの記憶がない。きっとその間に何かしらあったのだろうが、私は本当に何も覚えていなかった。

ベッドの横に黒のブラジャーが落ちている。
酔った勢いで誰か抱いたのだろうか。ゴミ箱にやけにティッシュが多いのも気になる。
いや、あり得ない。私は今まで童貞を貫いてきた。なぜなら、私は小さい頃から軽い女性恐怖症だからだ。それは泥酔しても同じこと。だから、女性と夜を共にすることなど普通あり得ないのだ。

何かが壊れた痕跡がある。
小さなネジ、基盤の破片、黒い鉄片。それらが床に散らばっている。足に刺さると痛い。私の持っている電化製品は特に何も異常が見当たらなかったことから、これは他人のものだと考えられる。だとしたら誰の、何の部品だ?分からない。

まるで殺人現場のように部屋が荒らされている。
本棚から本が落ち、ベッドのシーツはグシャグシャに、クローゼットに掛けてあった服は全て床に散らばっていた。


私が帰宅してから何かがあったことは確実だが、記憶がないために何があったのか分からない。知らず知らずのうちに事件とかに巻き込まれていなければいいが。

私は友人に電話をしてみた。しかし、電話がつながらない。
おかしい。もう午後の4時だぞ。いくら二日酔いをしているからといっても、こんな時間になるまで寝ているなんてことはそうそうない。友人にも何かあったのだろうか。


私は一気に心配になった。記憶のない数時間の中で何があったのか、不安で不安で仕方ない。しかも、友人と連絡が取れないと来た。これはもう、絶対に何か大変なことがあったとみて違いない。

私は、土日の間、終始不安な面持ちで過ごした。たびたび友人に電話やメールをしたものの、返事はなかった。


月曜日、私は急いで会社へ走った。
社内には既に例の友人がいた。彼は私を見るなり、喫煙室へと引っ張っていった。

「なあ、お前、あの後どうしたんだよ」

友人は真剣に私に訊いた。
勿論、私には何のことやらさっぱりだ。

「何の話だ? 飲み屋出てから記憶がないから、よく分からないんだ。というか、お前こそどうしたんだよ。携帯に電話しても出てくれなかったじゃないか」

私がそう言うと、友人は溜め息をついた。

「覚えてないのか……。くそ、残念だな」

「残念って、何が」

「………」

彼は一呼吸おき、ゆっくりと話し始めた。

「あの飲み屋出てから、行けるやつだけ、お前の家でもう一度飲み直そうって話になったんだ。お前は反対してたけど、課長に『5万やるから頼む』って言われたら大人しくなったよ。
そんで、お前の家ではもうどんちゃん騒ぎだったぜ。お前も、酔って大騒ぎして家中のものバンバン壊してたし、制止するのが大変だった。お前のせいで俺の携帯も壊されちまったよ。
まあ暫くして、終電も近いからみんな帰ろう、ってことになったんだ。だけど、課長だけ『もう少しここにいる』つって、お前ん家に残ったんだ。
まあ、それでお前と課長はその後どうなったのか気になって訊いてみたんだが……覚えてないなら仕方ないな」


私は今日会社を早退し、パチンコに行って5万を使い果たした。
帰宅した後は、毛布にくるまってずっとテレビを眺めていた。

やがて、課長が家にやって来た。彼は少し赤らんだ頬をしながら言った。

「下着を取りに来たのだが」