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変なやつの変なブログ

猫とゲームと何かで塗り固められた何か

無題

「餌をよこせ」

飼い猫が突然喋った。
もちろん私は驚いた。普通の猫は日本語を話せないからだ。というか、普通、人間以外は日本語を話すことはできないはずだ。よくテレビで、猫が人間の声そっくりな鳴き声を出すと話題になっていたりするが、それはあくまで鳴き声である。これは日本語だ。少し、いやかなり違う。

「早く餌をよこせ。腹が減って仕方ないんだ」

飼い猫は尚も私に催促する。日本語で。
このアメリカンショートヘアは何故突然日本語を喋るようになったのだろう。宇宙人とか幽霊の仕業なのだろうか。SFではよくある話だが。

まて。私は固定概念にとらわれていたのかもしれない。動物が日本語を喋らないと誰が決めた?オウムや九官鳥だって、人間の言葉を覚えるではないか。猫もペットとして飼われるようになって、人間とより深いコミュニケーションを交わすために、人間語を話せるように進化したのではないか?

私は感動した。猫が喋るようになったという進化を、恐らく世界で一番最初に発見したのだ。まさに世紀の大発見。クリストファー・コロンブスの気持ちがわかったようだ。いや、違うな。

「早くしてくれ。何をそんなに考える必要がある?餌を出してくれるだけでいいんだ。いつものようにな」

猫はしきりに私に声をかける。
その声には可愛さのかけらもない。

私は気付いた。猫好きである私からしたら、人間の声など煩いだけなのだ、と。ニャーと鳴かない猫など猫ではない。ニャーと鳴くから猫なのだ、と。

「猫らしくしろ」

私が言うと、猫は渋い顔をした。


二ヶ月後、世界中で「猫が日本語を話す」と話題になった。発見したのは、神奈川県在住のなんちゃらさんだ。
テレビに映っていたスコティッシュフォールドは、さも誇らしげに記者との会話を楽しんでいた。

「今更か。猫だから喋らないなんておかしいよな」

ソファに座っている私の隣には、おっさんのような声をだす猫がいる。
私にとってその猫は誇らしい存在でもないし、もはやペットでもない。会社から帰ってきた私の疲れを癒すあの猫は、一体どこへいってしまったのだろう。

「猫が鳴かないなんておかしいだろ」

私がそういうと、決まって奴は変な顔をする。